強度近視
強度近視
近視とは、目に入った光が網膜よりも手前で焦点を結ぶため、遠くのものがぼやけて見える状態です。多くの場合は眼球の前後の長さ(眼軸長)が長くなることが関係しています。近視の程度は、一般にジオプトリー(D)という単位で表されます。強度近視は、一般的に近視度数が-6.00 D以下(-8.00Dや -10.00D等)であることを指します。コンタクトレンズをお使いの方は、ご自身のコンタクトレンズ度数をぜひご確認ください。眼球が前後に長くなると、目の奥にある網膜や脈絡膜などの組織が引き伸ばされ薄くなり、様々な変化が生じることが知られています。その結果、網膜裂孔、網膜剥離、近視性黄斑症、緑内障など眼底疾患のリスクが高くなると言われています。また、強度近視であるからと言って必ず目の病気になるわけではありませんが、 知らないうちに発症してくる病気もあるため、網膜や視神経などの状態を定期的に確認することです。
網膜は、眼球の一番奥に位置している見る機能を担っている組織です。網膜に裂け目(網膜裂孔)ができ、そこから網膜の手前にある硝子体が入り込むと、網膜が本来の位置からはがれる「網膜剥離」を起こすことがあります。強度近視では、眼球が前後に長くなることに伴う網膜の変化に網膜裂孔や網膜剥離のリスクが高くなります。強度近視は若い方にも多く見られ、ご年齢問わず網膜裂孔や網膜剥離は発症するリスクがあります。
次のような症状が現れた場合は注意が必要です。
これらは網膜裂孔や網膜剥離を発症している可能性があります。突然このような症状が現れた場合は、当日中に眼科を受診することをお勧めいたします。
治療としては、網膜裂孔のみであれば裂孔の周囲にレーザー(網膜光凝固術)を施行し網膜剥離への進行を予防します。網膜剥離に至っており、レーザーでの加療が難しいと考えられる場合には、手術的に加療が必要になります。術式は年齢へ網膜剥離の具合で変わってきます。当院では、網膜裂孔や網膜剥離の方は、当日中に紹介状を作成し、すぐに紹介先へご連絡し治療を円滑に進めるためにお手伝いをしております。
黄斑とは網膜の中心にあり、細かい文字を読んだり、ものの形や色を見分けたりするために重要な部分です。黄斑が障害されると視力が著しく低下していくことが知られています。強度近視では、眼球が長くなることに伴い、黄斑部の網膜やその周囲の組織に変化が生じることで、黄斑部に悪い血管(新生血管)が発生し、一番大切な黄斑部にむくみや出血をきたす場合があります。また、目の長さが前後に伸びることで、伸びきれなくなった網膜が剥がれてくる網膜分離や黄斑円孔が発生することもあります。このような変化を近視性黄斑症と呼び、進行すると視力に影響することがあります。
次のような症状がある場合は、早めに眼科を受診しましょう。
特に、ものがゆがんで見える、視界の中心が暗くなるといった変化が新たに現れた場合は、なるべく早めに眼科を受診してください。
治療としては、黄斑部の新生血管なのか網膜分離なのか、黄斑円孔なのかで、硝子体注射や手術的加療なのかが変わってきます。
緑内障は、視神経に障害が生じ、視野が徐々に狭くなる病気で失明原因の第一位です。強度近視の方は、緑内障のリスクが高くなることが知られています。緑内障は初期には自覚症状が乏しく、視野の変化に気がついたときには進行した状態であることもしばしば見受けられます。当院では強度近視の方で、視神経の変化が見受けられる方には積極的に検査をご案内しております。緑内障の詳しい内容につきましては、診療案内>緑内障・視神経乳頭陥凹拡大のページをご覧ください。
強度近視に伴う目の病気には、初期には自覚症状がほとんどないものがあります。そのため、見え方に問題がなくても、定期的に目の奥を確認することが大切です。当院では、眼底カメラ、眼底自発蛍光検査、光干渉断層計(OCT)、光干渉断層血管撮影(OCTA)、眼軸長測定、静的・動的視野検査などを用いて、眼軸長含め黄斑部、視神経の状態を詳しく診察しております。(患者さんの近視の程度や自覚症状に応じて必要な検査は変わってきます)
眼底カメラ(いわゆる眼底写真)では、網膜や視神経など、目の奥の写真を撮影します。(眩しい検査です)中心部のみの写真となりますが、網膜や視神経の状態を記録し、経過を比較する際に非常に役立ちます。
眼底自発蛍光(FAF:Fundus Autofluorescence)は、網膜の一部である網膜色素上皮に含まれるリポフスチンという物質に由来する光を画像化しており、正常な網膜では明るく写ります。網膜や黄斑が障害を受けると、リポフスチンが減少するため画像が暗く写ることで網膜や黄斑部の病気の程度を評価する際に役立ちます。こちらは非常に眩しい検査となっており、撮影後に目の前がチカチカしたりピンク色に見えたりなど変化がありますが、一時的なものであり心配はありません。
OCTは、網膜や黄斑部、視神経などの断面を画像化する検査です。数秒目を開けていただければ検査さ可能で眩しくありません。網膜の厚みや層構造、黄斑部の変化、視神経の状態などを詳しく調べることができます。強度近視に伴う黄斑部の変化(近視性黄斑症)、緑内障などの評価に役立ちます。
OCTAは、網膜や脈絡膜の血管の状態を画像化する検査です。造影剤を使用せずに血管内の血流信号を捉え、血管の分布などを評価できます。強度近視では、黄斑部に新生血管が生じることがあり、OCTAを使用することで黄斑部に新生血管が生じているかどうかを可視化できます。造影剤を用いずに検査できるため、アレルギーの心配もなく何度も撮影ができます。OCT撮影よりも長めに目を開けていただく必要がありますが、眩しくはありません。
眼軸長とは、角膜から網膜までの眼球の前後の長さです。眼軸長を測定することで、近視の程度や進行状況を評価することが可能です。眼軸長が長くないのに近視が非常に進んでいる方もおり、その場合には核白内障と言われる白内障の合併を疑ったりと日常診療にも大いに役立ちます。また、特に成長期のお子さんでは、眼軸長の変化を継続的に確認することが、近視進行の評価や管理方針の検討に役立ちます。
視野検査は、見える範囲や光に対する感度を調べる検査です。緑内障などによる視野の変化を評価する際に重要です。緑内障以外にも近視による網膜の萎縮が強い方は、現時点での視野を確認するのにも非常に有用です。静的視野検査では、視野のさまざまな位置に光を提示し、その感度を詳しく調べます。動的視野検査では、検査員が光の目標を周辺から中心に向かって動かし、見える範囲を評価します。動的視野検査の場合には患者さんの反応具合を見ながら見えにくそうな部位をより細かに調べることができるため、静的視野検査が苦手な方や詳しく視野を知りたい場合には非常に役立ちます。患者さんの症状や目の状態に応じて検査方法を選択していきます。
※必要な検査は患者さんごとに異なります。すべての検査を毎回行うわけではなく、診察結果に応じて適切な検査を選択します。
検査の間隔は、近視の程度だけでなく、網膜や黄斑部・視神経の状態、年齢、症状、これまでの検査結果などによって異なります。症状がなくても、1年に1度は定期的に眼科を受診し、目の奥の状態を確認することをおすすめしております。また、定期検査の予定が先であっても、急な飛蚊症の増加、光が走る症状、視野の欠け、もののゆがみ、急な視力低下などが現れた場合は、次回の予約を待たずに受診してください。当院では24時間web予約が可能ですのでお気軽にご予約ください。
強度近視では、眼鏡やコンタクトレンズによる視力矯正だけでなく、網膜や黄斑部、視神経などの状態を確認することが重要です。当院では、患者様の自覚症状やご心配ごとを丁寧に伺い、目の奥に生じる変化を丁寧に評価することを大切にしています。また、小児の近視についても、眼軸長などを含めた検査によって進行状況を評価し、近視進行抑制についてもお気軽にご相談いただけます。
次のようなお悩みがありましたら、ご相談ください。
強度近視の方も、近視が進んでいるお子さんも、まずはご自身やお子さんの目の状態を知ることが大切です。こんなことで相談していいのかな、気になるだけで受診していいのかな、悩まれる方はどんな些細な事でも結構ですのでお気軽にご相談ください。詳しい検査をご希望の方は散瞳検査と言って瞳孔を広げる検査を行なっております。点眼後20分程度お待ちいただくことで眼底検査が可能です。点眼の効果が4-5時間続くためその間は自転車や自動車の運転ができなくなるため、ご注意ください。
いいえ。強度近視があっても、必ず網膜剥離や近視性黄斑症、緑内障などを発症するわけではありません。ただし、これらの病気のリスクが高くなるため、定期的な検査が大切です。
眼鏡でよく見えていても、網膜や視神経に変化が起きていることがあります。自覚症状がなく網膜裂孔や緑内障が発症していることもあります。見え方だけでは判断できない場合があるため、定期的な眼科受診をおすすめします。
眼鏡やコンタクトレンズやICLなどで見え方を改善することはできますが、眼球の長さそのものを元に戻すことはできません。屈折矯正手術(ICLやLASIK)を行う事で見かけ上の近視がなくなる場合もありますが、近視に伴う網膜などの変化や将来の病気のリスクがなくなるわけではありません。ICLやLASIKを受けた方でも眼底けんさを受けることは非常に大切です。視力の矯正と、目の病気の予防・早期発見は分けて考えることが大切です。
OCTやOCTAは網膜や黄斑部などの評価に役立つ検査ですが、これらだけですべての病気を診断できるわけではありません。眼底検査や視野検査など、必要な検査を組み合わせて総合的に判断します。より詳しい検査が必要と判断した場合には、信頼できる連携先の病院に速やかにご紹介しております。
強度近視について心配なことがございました、お気軽に荒川おがわ眼科にご相談ください。
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